2011年04月27日

南美穂子 勾留理由開示公判における意見陳述

南美穂子 勾留理由開示公判における意見陳述
2011年4月15日

 釜ヶ崎労働者の皆さん!集ってくださったみなさん!住民票闘争に関わったみなさん!今私の言いたいことをまとめます。
 
 今回の逮捕は不当逮捕です。憲法に保障された自由選挙の権利、普通選挙を守ろうとする者への計画的な弾圧です。7名をも逮捕し、関係のない所14ヶ所を家宅捜査するなど、許すことはできません。断固抗議します。

 2006年、福岡県警の警察官が浮気して、新しい人生を歩もうとして、釜ヶ崎解放会館に置かれていた住民票を買いました。このことが明らかになり、マスコミに大々的に報道されると、2007年3月29日、大阪市、西成区は、釜ヶ崎解放会館、ふるさとの家、NPO釜ヶ崎に置かれていた釜ヶ崎労働者の住民票2088名と簡易宿泊所に置かれていた住民票を強制的に削除しました。

 この日本では、住民票がないと本人確認の手段がなくなり、ありとあらゆることから排除されます。健康保険、運転免許、年金受け取り、携帯電話、日雇い雇用保険を持てなくなり、建設現場への新規入場も断わられます。

 大阪市、西成区は、そのことをわかっていて、30年もの間、支援団体の裁量にまかせ丸投げにしていました。そのくせ、この事実がわかって大騒ぎになると、手のひらを返して住民票を削除したのです。

 「これだけが、俺が俺である証明なんや」と、解放会館の住所の健康保険を持っていた野宿の労働者。住民票削除の時に、「俺たちは犬畜生より下に置かれた」という労働者の言葉をききました。このことからからわかるように、人間としての生きる権利、働く権利など、人が人として最低持っている基本的人権を奪った棄民政策が、住民票削除でした。
 
 奪われた基本的人権の一つが、選挙権です。

 この住民票削除の反対の闘いの中で、一人の労働者がおこした差し止め裁判がありました。この中で大阪市は、大阪市が住民票を削除した日から投票日までの住所を明らかにすれば、四ヶ月以上萩之茶屋投票所区内に住んでいれば、住民票を復活して投票させることを約束したという事実を、その判決の中で確定しています。

 このことは、一昨年の衆議院選挙の時、大阪市西成区の選管にたずねたところ、この先も有効であることを知りました。

 大阪市西成区は釜ヶ崎労働者の住民票を削除した責任として、このことをせめて釜ヶ崎だけでも周知させるべきです。それが憲法を守る公務員の公務です。しかし、一度もこのことが釜ヶ崎で周知されたことはありません。

 私達は本来ならば大阪市、西成区がしなければならないことを、憲法を守るためにやっているにすぎません。裁判所はこれまでの判決の中で、「2007年から3年もたっている」とか、「住民票をとることは、自立支援センターとか、2008年から生活保護の適用変化でできただろう」と言っています。しかし釜ヶ崎ではまだまだ生活保護をとらなくていい人で、日雇い労働をしている人、生活保護を何かの事情でとれない人が2000人以上います。そしてその人達は住民票を持っていません。そのことは、定額給付金の際に知ることができました。

 この定額給付金の際には、10年以上も家に住んでいなくても住民票がある人はもらえ、住民票を解放会館等に置いていた人だけがはじかれたのです。これで法の下の平等と言えるのでしょうか。

 警察は逮捕状で「大勢をたのみ、喧騒を起こして投票場の静ひつを破り、投票場の門をふさいでいた矢野事務官の公務を妨害をした。」と書いています。

 しかし、あの日実際に大勢をたのみ騒ぎにしたのは、門の所をふさぐために3列にも4列にも並んでいた市の役人と、その横に立ちふさがっていた20人以上の制服の警察官です。

 そして大勢というなら、私達のような小集団に機動隊の車を何台も止まらせていた警察ではないでしょうか。このことが当日の参加者の怒りをかうことになったのです。市の職員が門をふさぎ警察がその横でチェックしている中で、投票の可能性のある人が一人で来て中に入ることは不可能だったと言っていいでしょう。日本のどこにこんな前近代的な投票場があるでしょう。

 私は、「住民票が消されていても投票の可能性のある人は中へ入りましょう」と必死で呼びかけました。また、中に入った人が住民票復活の手続きができる場所が設定されているのか?そのための職員がいるのか?投票場の前のガラス戸から確認しようとしました。しかし門の所に並んでいる役人達にはばまれて行けませんでした。向こうが押してきて行けませんでした。

 大阪市が住民票を消された人でも投票できる可能性をちゃんと周知し、2007年の削除に対して手当てをしていればこんなことをする必要は全くなかったのです。

 「投票所は静かでなければいけない」と言いますが、小さな声で呼びかけていて投票の可能性のある労働者に届くのですか。またお金がなくて事情により生活保護もとれず住民票がとれない人間は黙っていろ、貧乏人は一切声を上げるなということでしょうか。そして労働者に手のひらを返し、住民票を削除して基本的人権を奪った役人は、投票できるかもしれない人を投票所の前に立ちはだかって排除してもいいということですか。

 私はこの住民票の闘争の中で、釜ヶ崎労働者全体のために「俺がやらなくて、誰がやる」と立ち上がった沢山の労働者の方々と知り合いました。そしてその労働者を献身的に支える団体や団体の人々とも知り合いになりました。最近私はガンになり、人生を考えることになりましたが、この人達と知り合ったことは私の人生の宝です。だからどんなに弾圧を受けても負けません。

 憲法97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に渡る自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練にたえ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と記しています。

 また国際人権規約には「家がないからと言って投票させないのは間違っている」とも明記されています。私達がこうした闘いの一員であることを、私は誇りに思います。

 私は、ビルや道路や橋を作り、日本を支えて来た釜の労働者を人間以下に落としこめた大阪市を許すことはできません。一人でも住民票闘争を続けようという人がいればその横にいていっしょにたたかおうと思います。

 今回地震があり、職を失った沢山の人が住民票から離れたところで日本中を流浪することになります。その人たちに選挙権はないのでしょうか。

 釜の労働者のおっちゃんがあきらめない限り、住民票闘争はなくなりませんし、闘いは続きます。釜をなめるな!

 最後になりましたが、今回の弾圧を受けた釜の支援団体のみなさん、救援会に集ってくださったみなさん、本当に迷惑をかけます。人民委員会のみなさん、行動する会働き人のみなさん、迷惑をかけますがよろしくお願いします。本当にありがとうございます。
posted by 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会 at 08:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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